「二日酔い飲んだところを考える」江戸時代の川柳です。昔の人も記憶を無くすくらいお酒を飲むことがあったんですね。この二日酔いの悩みは、21世紀の現代でも、しっかりと引き継がれています。楽しい酒だったのか、ストレス発散させるやけ酒だったのかは分かりませんが、多大なる酒の恩恵にあずかった後は、二日酔いという負債を抱えるのはしかたがないことです。
とは言いつつも、二日酔いの時の苦しさというか気持ち悪さは、一刻も早く解消したいもの。とにかく大量の水分補給と適量の糖分補給が二日酔いには効果的です。しかし二日酔いの解消法には民間療法というか迷信というか、科学的に根拠がなく、逆に健康を損なう方法というのがいくつか伝わっています。このような誤解を解くためにも、今日は二日酔いと感じたら、絶対に行ってはいけない事をお伝えします。
二日酔いと感じたら
絶対に行ってはいけない5つの事
迎え酒は絶対にダメ!
少なくとも江戸時代から二日酔い対策として存在していた、迎え酒。これは絶対にやってはいけません。二日酔いの症状を緩和する効果が全くないことに加えて、アルコール依存症になってしまいやすい危険な習慣です。
二日酔いの不快な症状に対する迎え酒の効果についてですが、これは、新たに酒を飲んで酔っ払うことで、頭痛や吐き気といったものを紛らわしているだけです。頭痛や吐き気はアルコールが肝臓で分解される過程で発生する、アセトアルデヒドという物質が原因ですが、迎え酒をすれば、新たにアセトアルデヒドが追加されるだけで、全く問題の解決になっていません。迎え酒からしばらく経てば、より不快な次の二日酔いが起こるだけです。
二日酔いの時にアルコールを追加で飲むことが恐ろしいのは、アルコール依存症を引き起こしやすいことです。二日酔いの時に酒を飲むのは、習慣的かつアルコール依存性の高い体質に変化していくことなのです。
みなさんは自分が好きだから、自分の意志でアルコールを飲んでいると思っているでしょう。実はアルコール依存症の患者の多くも、みなさんと全く同じように思っています。アルコール依存症の患者のほとんどは、最初に診断を受けた時に「自分は違う」などと激しく拒絶をします。そのためアルコール依存症は「否認の病気」とも言われるのです。
なぜこのような反応が起きるかというと、2つの理由があります。
1つは迎え酒のような酒の飲み方をすると、徐々に酒に対する耐性が身につきます。そのことで体が酒を拒否しにくくなるのです。
そして2つ目は体に耐性がついたことで、脳がアルコールの良い面しか認識しなくなっていくのです。
こうなってしまえば、二日酔いの時以外でも常に酒を飲むことが当たり前になっていき、自分の意志で酒を飲んでいると思い込みながら、酒が無ければ冷静な思考ができない体になっていきます。
日本では飲酒者の26人に1人がアルコール依存症だと言われています。実は最も身近な精神疾患であり、迎え酒のような悪習から簡単に陥ってしまう病気なのです。迎え酒は絶対にやめましょう。
二日酔いの朝のサウナと熱い風呂は危険!
二日酔いの状態からアルコールを抜くためにサウナや熱い風呂に浸かるという方法を取る人がいます。しかし体内のアルコールは体を温めたり、汗を流すことでは全く減りません。むしろ汗をかくことで、頭痛や吐き気の原因である脱水症状を悪化させます。いくら体を温めても、血液中の水分が不足しているので、血行は悪くなる一方で、脳に血液が十分に循環しないと、酸欠で失神してしまう可能性もあります。そして心筋梗塞や脳梗塞のリスクを大幅に高めるのです。
どうしてもスッキリしたければシャワーを浴びるだけにしましょう。二日酔いは脱水症状の状態ですから、水分を大量に摂取し、汗で水分を失うのは最小限にとどめるようにしてください。
二日酔いの朝のジョギングは危険!
二日酔いの状態でのジョギングや運動は、サウナ・風呂と同じ理由で、危険ですから絶対にやめましょう。二日酔いの頭痛がすっきりしそうだと思ってジョギングすれば、脱水症状を悪化させて心臓や血管に大きな負担をかけます。
大量の水分補給をし、頭痛が治まってくれば、普段の運動を行っても平気ですが、二日酔いを自覚している状態での運動は全く健康に良くなく、非常に危険です。
人工甘味料入りの0カロリー飲料はやめたほうがいい
肝臓でアルコールを分解するときに、血液中の糖分を大量に消費します。二日酔いのときは、低血糖の状態なのです。なので糖分を含むジュースや清涼飲料水は、水分と糖分を両方補充できるので、二日酔いのときには最適なのですが、最近は糖分が含まれない、「シュガーフリー」や「0カロリー」といった飲み物が増えています。これらは甘みに人工甘味料を使っているのですが、この人工甘味料は二日酔いのときには避けたほうが良いでしょう。
人工甘味料の安全性についてはいろいろな議論があるのですが、少なくとも肝臓と腎臓での処理が必要となることが判明しています。二日酔いのときは、アルコールを分解するために、肝臓と腎臓はフル稼働中です。そのタイミングで人工甘味料の処理作業まで肝臓と腎臓に強要するのは、内臓に負担をかけ過ぎです。しかもエネルギー源の糖分が含まれていません。これなら普通の水を飲んだほうが健康にはずっと良いです。
空きっ腹の頭痛薬は危険!
頭痛薬は二日酔いの頭痛に効果的です。痛みが早く引きます。しかし、ご存知の通り、胃には負担が大きいですよね。必ず朝食を食べてから頭痛薬を飲むようにしましょう。食欲がなくても、少なくとも牛乳か野菜ジュースなどをお腹に入れてから飲むようにしてください。もともと胃の弱い方は余計に気をつけてくださいね。大量のアルコールを摂取した後は、胃も含めて、多くの内蔵が弱っていますから。
今回は二日酔いの症状を緩和させる手段として、ついついやってしまいそうだけど、絶対にやってはいけない事について述べてきました。それとは少しずれるのですが、「二日酔いと感じたら、絶対に行ってはいけないこと」として追加しておきたいのが、「運転」です。
二日酔いの状態は、血液中にアルコールが残留している場合がほとんどです。また、「二日酔いで気分が悪いくらいだから、酔っているなんてとんでもない!」と思っていても、運転に必要な判断力や反射神経は、まさに泥酔状態のように普段のレベルからはかけ離れています。「頭痛と吐き気が無くなった」「普段通り物事に集中できる」という状態に回復するまで運転してはいけません。お酒は正しい知識を持って、正しい飲み方で楽しみましょう。
今日のまとめ
二日酔いと感じたら、絶対に行ってはいけない5つの事
・迎え酒は絶対にやってやいけない!
・二日酔いの朝のサウナと熱い風呂は脱水症状を助長するから危険!
・二日酔いの朝のジョギングや運動も脱水症所を助長するからやってはいけない!
・人工甘味料入りの0カロリー飲料は内蔵に負担をかけるのでやめたほうがいい
・空きっ腹の頭痛薬は危険!必ず朝食を食べてから飲むように!