レバーとは肝臓のことで、日本で主に食用とされているレバーには牛、豚、鶏のものがあります。
レバーは必須アミノ酸をバランス良く含み、ビタミンも豊富に含まれていることから栄養の宝庫とも呼ばれています。
特にビタミンAとビタミンB2はレバー50gで、成人が一日の必要量をまかなうことができます。
栄養価的に牛も豚も鶏もあまり違いはないと言われていますが、牛の場合は他の栄養素に加え、抗酸化作用のあるビタミン様成分のパンガミン酸を含み、豚のレバーは牛や鶏に比べ、ビタミンAと鉄分の含有量が大きく上回っています。
レバーは肉に比べると脂質が少なく、カロリーが低いためダイエット向きの食材と言え、特に鶏のレバーはカロリーが一番低くなっています。
レバーの食べ方は様々で、普通は炒め物や煮物、フライにしますが、独特の匂いがあるため、調理の際にはしっかり下処理をすることが必要になります。レバーは調理法や合わせる食材によって、その栄養素の効果を高めることができます。
それではレバーを美味しく、栄養を損なわないレシピを紹介していきましょう。
レバーを味わおう!
栄養が損なわれないレシピ集
レバニラで疲労回復しよう
レバーの家庭料理の定番と言えば、やはりレバニラ炒めです。
レバニラ炒めのニラの役割はレバーの臭み消しだけではなく、ニラの匂い成分である硫化アリル(アリシン)がレバーのビタミンB1の吸収を高めてくれます。
通常ビタミンB1は余分に摂取すると排出されてしまいますが、アリシンと一緒に摂取したビタミンB1は長く体内にとどまって疲労回復に作用します。レバーとニラを一緒に食べることで疲労回復に相乗効果があるため、スタミナ食と呼ばれています。
一般的なレバニラ炒めの作り方は下処理したレバーを油で揚げてから炒めますが、片栗粉をまぶしたレバーを茹でてから作るとカロリーを抑えることができるので、ダイエット中でも安心して食べることができます。
レバニラ炒めを美味しく作るポイントは強火で一気に炒めることです。
ビタミンB1は加熱処理しても壊れにくい栄養素ですが、ニラの食感を壊さないためにも手早く炒めましょう。
レバーのトマト煮込みで抗酸化作用を高めよう
豊富に含まれる栄養素の中でも注目されているのが、免疫防御系に作用するビタミンAです。
年齢とともに体内の酸化防止機能は低下していきますが、体内で発生する活性酸素は増加していきます。
活性酸素によって細胞が傷つけられると様々な病気を引き起こし、ガンの発生の一因にもなります。活性酸素から体を守るには抗酸化作用のある食材を積極的に摂取することが必要になります。
レバーには強い抗酸化作用があり、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAが豊富に含まれていますので、細胞の老化を防ぐためには積極的に食べたい食材です。
同じく抗酸化作用のあるリコピンを含むトマトを加え、さらに細胞を若々しく保ちましょう。
リコピンは脂溶性ですので油を使って調理すると吸収がよくなりますので、レバーと一緒に煮込み料理にすることで抗酸化作用がアップします。
下処理をしたレバーとニンニクを油で炒め、刻んだトマトまたはトマトジュースを加え、固形スープの元・塩胡椒などで味を整えて煮込みます。レバーの匂いが気になる人はバジルなどのハーブを加えると、食べやすくなります。
ただしレバーに含まれるビタミンAは過剰に摂取するとからに蓄積され、吐き気や頭痛、下痢などを引き起こす可能性がありますので、適量を心がけるようにしましょう。
衣にパセリを混ぜたレバーフライで貧血を予防しよう
多くの女性が悩んでいる貧血のほとんどは、鉄分が不足することで引き起こされる鉄欠乏性貧血と言われています。
女性には月経・妊娠・出産と貧血になりやすい条件が多く揃っています。また若い女性に多く見られる過度なダイエットや偏食も鉄欠乏性貧血の原因と言われています。
貧血をあまり深刻に考えない人も多いですが、放置していると深刻な病気に繋がる可能性がありますので、早めに改善するようにしましょう。鉄欠乏性貧血の改善には、鉄分を多く含んだレバーが効果的です。
レバーに含まれる鉄分はヘム鉄といい、吸収が良く、貧血の改善には最適な食べ物です。しかしコレステロールの含有率が高いため食べすぎには注意が必要ですので、鉄分を多く含むパセリを加えてフライにしましょう。
パセリは野菜の中では鉄分の含有量がトップクラスで、鉄分の吸収を高めるビタミンCも豊富に含まれています。下処理したレバーに塩胡椒をし、小麦粉・溶き卵・みじん切りしたパセリをパン粉の順に衣を付けて、油で揚げていきます。
パセリに含まれるビタミンCは加熱調理によって栄養が壊れやすいため、さらにみじん切りのパセリをレバーフライにかけたり、ソースやマヨネーズに混ぜて積極的に食べるように心がけましょう。
鶏レバーのチーズ焼きで骨を丈夫にしよう
レバーに含まれているビタミンDは骨のビタミンとも呼ばれるほど、骨にとっては重要なビタミンです。
ビタミンDはカルシウムを吸収するためには不可欠な栄養素で、血液中のカルシウムやリン酸を骨に吸着させて丈夫にするため、子供や妊婦、老人にも大切な栄養素です。
またレバーに含まれるビタミンは十二指腸でカルシウムの吸収を促進してくれるので、骨粗鬆症や骨軟化症の治療や予防に役立ちます。このようにビタミンDは骨の健康に必要不可欠なものですので、カルシウムを多く含むチーズと一緒にレバーからしっかり摂取するように心がけましょう。
耐熱皿に食べやすい大きさにカットし、塩胡椒した鶏レバー・とろけるチーズを乗せ、250℃のオーブンで15分ほど焼いて出来上がりです。カルシウムを含む食材は多くありますが、吸収しやすい形で効率良く摂取できるのがチーズやヨーグルトなどの乳製品です。
年齢を重ねてから腰痛や異常骨折を起こす骨粗鬆症や、骨が柔らかくなる骨軟化症の予防のためにも、しっかり摂取しておきましょう。
レバーと豆腐の炒め煮で肌荒れを改善しよう
皮膚の新陳代謝が悪くなると、引き起こされるのが肌荒れです。特にビタミンB2が不足するとニキビや吹き出物の原因になります。
レバーはビタミンB2が豊富で、肌の潤いに欠かせない良質な動物性タンパク質も含まれているので、肌荒れには効果的です。肌荒れに効果的なレバーに合わせるおすすめの食材は大豆です。
大豆は良質な植物性タンパク質、脂質、ビタミンB群が多く含まれ、特に大豆に含まれるビタミンB6はレバーのビタミンB2の働きを助ける働きがあるため、レバーと豆腐を炒め煮にして食べると肌荒れには効果的です。
下処理したレバーに片栗粉を付け油で揚げてから豆腐と合わせ、中華スープ、オイスターソース、醤油、ショウガなどを入れて炒め煮にしていきます。
美肌には欠かせないレバーと豆腐に含まれるビタミンB群は、水に溶けやすい性質を持っていますので、スープにとろみを付けてスープごと食べると効果的に栄養を摂取することができます。
また一度油で揚げることでレバー独特の臭みが消えるので、苦手な人でも食べやすくなります。
鶏レバーの生姜煮で冷え性を改善しよう
冷えは万病の元と言われるように、放っておくと肩こりや腰痛、生理不順、肌荒れなど様々な体の不調を引き起こします。
冷えを予防するには身体の中から温め、血行を良くし自律神経をきちんと機能させておくことが大切です。レバーに含まれるパテント酸には代謝を促進し、自律神経を活性化させる働きがあり、良質なタンパク質は熱エネルギーとなり、神経機能を保持する働きがあります。
またレバーに含まれる鉄分には血行を促進する作用もあるため、冷えの予防・改善には効果的です。
冷えを予防する栄養が豊富にふくまれるレバーに、さらに体を温める効果のあるショウガを加え、体の中から冷えを解消していきましょう。下処理した鶏レバーをサラダ油で炒め、出汁・酒・みりん・砂糖・醤油・皮をむいて千切りにしたしょうがを加え煮込みます。
鶏レバーは比較的臭みが少なく、ショウガを加えることでレバー独特の匂いが苦手な人でも食べやすくなります
レバーとパプリカのマリネで免疫力をアップさせよう
毎年冬になると風邪をひいてしまう人と、ほとんど風邪をひかない人の差は、免疫力です。
免疫力を大きく左右するのが食事で、栄養をバランス良くとることが基本とされています。
レバーには免疫力を高める栄養素が豊富に含まれているため、しっかり食べることでウイルスに負けない体を作ることができます。
免疫細胞を活性化させるビタミンA、免疫力強化に働くビタミンB6や葉酸が含まれるレバーに、同じく免疫力を高めるビタミンCが豊富に含まれるパプリカを加えたレシピで、風邪に負けない強い身体を作っていきましょう。
下処理をしたレバーと一口大に切ったパプリカをサラダ油で炒め、白ワイン又は酒を入れ、蒸し焼きにします。
ボールにバルサミコ酢・オリーブオイル・砂糖・塩胡椒を混ぜ、蒸し焼きにしたレバーとパプリカを加え、味を馴染ませて出来上がりです。
ビタミンCは加熱によって壊れやすい栄養素ですが、パプリカに含まれるビタミンCは熱を加えても壊れにくいので効率良く栄養を吸収することができます。
マリネ液は好みに応じて三杯酢や土佐酢にしても美味しく食べられます。
さて、レバーには女性に嬉しい栄養素の宝庫です。積極的に食べて、体の中から健康に美しくなりましょう。レバーの下処理の方法にはいくつかあります。
一番ポピュラーなのは流水に15分ほど漬けておくことですが、水溶性のビタミンであるビタミンCやビタミンB群が流れでてしまうことがありますので、注意が必要です。
他にも牛乳に浸したり、酒やショウガ汁、醤油などに漬けて臭みをとる方法があり、調理法によって使い分けましょう。
レバーは鮮度が大切です。
できればスライスされたものより塊で購入し、鮮やかな赤味があり発色がよく、弾力があるものを選びましょう。レバーの栄養が健康や美容に良いと言っても、食べ過ぎてはいけません。
特煮レバーに含まれるビタミンAは、ビタミンD、ビタミンEは脂溶性のビタミンですので、過剰に摂取すると体内に蓄積されてしまいます。また痛風の原因であるプリン体も多く含まれますので、毎日食べないようにしましょう。
まとめ
レバーを味わおう!栄養が損なわれないレシピ集
・レバニラで疲労回復しよう
・レバーのトマト煮込みで抗酸化作用を高めよう
・衣にパセリを混ぜたレバーフライで貧血を予防しよう
・鶏レバーのチーズ焼きで骨を丈夫にしよう
・レバーと豆腐の炒め煮で肌荒れを改善しよう
・鶏レバーの生姜煮で冷え性を改善しよう
・レバーとパプリカのマリネで免疫力をアップさせよう