最も身近なきのこであるしいたけには、ビタミンやミネラル、食物繊維など豊富な栄養素が含まれていて、さらに低カロリーと大変優秀な食材です。
しいたけには春先のまだ寒い時期にゆっくりと成長し、かさが分厚くずんぐりとした形の冬茹と、晩春から秋にかけて出回る香信と2種類あります。香信より冬茹の方が香りも味も良く、かさが分厚いため有効成分が豊富に含まれています。
また生のしいたけと干ししいたけでも、含まれる栄養素は異なってきますが、どちらも利用範囲が広く、栄養価の高い優れた食材です。
しいたけが何となく体に良いということは知られていますが、具体的にどのような効能があるのかはよく知られていません。
しいたけの優れた効能と効果的にその栄養を摂取するための調理のコツをお伝えしていきましょう。
しいたけの栄養は実はすごい!
7つの効能と調理のコツ
血圧やコレステロールを下げて生活習慣病を予防しよう
コレステロールは人間の体になくてはならない必要なものですが、必要以上に多くなってしまった場合、血液中にさまよい動脈壁に沈着してしまい、血流が悪くなります。
すると毛細血管まで血液が行き届かず動脈硬化を引き起こし、様々な生活習慣病を誘発してしまいます。
しいたけには血中のコレステロール量を低下させるエリタデニンという成分が含まれているため、動脈硬化予防が期待できます。エリダテニンは血中のコレステロールの代謝を促進し、胆汁酸などの物質へ異化するのを促進します。
このエリダテニンはしいたけとマッシュルームにしか含まれておらず、マッシュルームにはごくわずかしか含まれないため、しいたけ特有の成分と言えます。
しいたけの軸よりカサの部分に多く含まれますので、カサの厚い冬茹がより効果的です。
免疫力を高めてガンを予防しよう
しいたけにはレンチナンという多糖類が含まれています。
レンチナンにはガン細胞の増殖を抑える効果が期待できるとされていて、手術ができない状態の胃ガンなどの抗がん剤としても用いられています。またレンチナンはガン細胞の増殖を抑えるだけではなく、ガンの発生も抑える作用がわかっています。
レンチナンには免疫力を高める効果があり、その作用によってガン細胞の増殖や発生を抑えると言われています。
通常レンチナンは消化器官からは吸収されにくいため注射で投与しなくてはいけませんが、しいたけから抽出されたレンチナンは口径投与でも効果が期待できます。
しいたけは食品ですのでもちろん副作用がなく、普段からしっかりと食べていればガンを防ぐ特効薬になると言えるでしょう。
風邪の改善と予防をしよう
しいたけには複数のウイルスが寄生しています。
そのなかの二本鎖リボ核酸は風邪やインフルエンザなどのウイルスの増殖を抑え、独自の抗体をつくるインターフェロンの生成を促す作用があります。
そのためしいたけを食べることで自然と抗体がつくられ、風邪やインフルエンザのウイルスに負けない体をつくることができるのです。
また風邪をひいて熱が下がらない状態が続くとたんぱく質の分解がすすみ、ビタミン・ミネラルの必要量が増えます。
しいたけにはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどが豊富に含まれていますので、風邪をひいた時の栄養補給に最適な食材です。とろ火で煎じた干し椎茸のスープが風邪の改善と栄養補給にはおすすめです。
アレルギー疾患を改善しよう
喘息やアトピー、花粉症などのアレルギー疾患は免疫系統の機能が異常な状態にあります。
この免疫系統をつかさどっているのが、胸腺という部分です。
しいたけ菌糸体の免疫賦活作用はアレルギー症状に対して、直接胸腺に働きかけて免疫力を高め、強い温存作用を持っています。
また干ししいたけに多く含まれるビタミンDには、アレルギー症状を抑える働きがあります。市販の干し椎茸を再度天日干しにすることで、ビタミンDの含有量が増加します。30分〜1時間ほどでビタミンDが10倍に増えると言われていますので、アレルギー症状の緩和のためには積極的に干し椎茸を食べるようにしましょう。
骨を丈夫にして骨粗鬆症を予防しよう
保存にも便利な干ししいたけは旨味が強いだけではなく、栄養の面からみても生のものより優れています。特にしいたけに含まれるエルゴステロールという物質は日光にあたると、ビタミンD2に変わります。
ビタミンD2はカルシウムが小腸で吸収されるのを助ける働きや、いったん腎臓を通過して排出されたカルシウムをさらに腎臓で再吸収するように腎臓に働きかけます。
ビタミン類は体内で合成することのできない栄養素ですが、ビタミンDだけは日光を浴びることで皮膚でも合成される栄養素です。
ビタミにDはカルシウムの吸収を助けるだけではなく、骨の新陳代謝を高める働きも持っていますので、骨の強化には欠かせない栄養素です。
近年、販売されている干ししいたけは電気乾燥の物が多く、ビタミンDがつくられていません。骨粗鬆症予防のためには、購入した干ししいたけを30分から1時間ほど天日に干してから食べるようにしましょう。
お腹の調子を整えて便秘を解消しよう
便秘を解消するために必要なのは栄養素と言えば、食物繊維です。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性の食物繊維があり、しいたけには主に不溶性の食物繊維が含まれています。不溶性の食物繊維は水に溶けにくく、便に含まれる水分を保つことで膨らみ、便のかさを増やすことで腸壁刺激を与え、腸の働きを活発にさせる作用があります。
生のしいたけにも多くの食物繊維が含まれますが、干ししいたけは100gで40g以上の食物繊維を含み、食物繊維を含む食材の中でもトップクラスです。
またしいたけに含まれるビタミンやメチオニンなどの栄養素は、様々な薬効が相まって代謝を活発にし、体内の老廃物や毒素などの排出を促します。
そのため内蔵の働きが活発になり、整腸や便通を良くする効果が期待できます。
低カロリーでダイエットに効果的
しいたけはダイエット中におすすめの食材です。
他のきのこと同じようにカロリーが低く、豊富に含まれる食物繊維が食事でとった脂肪分を包み込み、体外へ排出してくれるため、食事制限をしている人でも安心して食べることができます。
また新陳代謝を活発にして老廃物を排出する働きがあるビタミンD2が豊富に含まれるため、ダイエットには欠かせない食材と言えるでしょう。
ただし、しいたけは油を吸収しやすい性質があるため、ダイエット効果を期待するなら油を使わないスープや煮物、焼き物で食べるようにしましょう。毎日手軽に食べるためにはふりかけがおすすめです。
干ししいたけをフードプロセッサーなどで粉末にし、塩を少し加えるだけで、旨味たっぷりの干ししいたけのふりかけができます。お好みで削り節や青のりを加えても美味しく食べられます。
いかがでしたでしょうか。
しいたけは身近過ぎて忘れられがちですが、このような素晴らしい効能がたくさんあります。
その栄養成分と効能から、生活習慣病の予防や改善に有効と言えるでしょう。しいたけは希望する効能によって調理方法を変えることが必要になってきます。
骨粗鬆症予防のためにしいたけを食べる時はカルシウムの多く含まれた食品と一緒に摂ること、さらにビタミンDは脂溶性のビタミンなので油を使った調理法がおすすめです。
逆にダイエットを目的に食べる時は脂を吸収しやすくなるため、油を使った調理は避けた方が良いでしょう。
また美肌効果を期待するにはビタミンB群を効果的に摂取するために、水に溶け出した栄養素も一緒に摂取できるようにスープごと食べるようにしましょう。
しいたけはどんな調理法でも美味しく食べられます。健康と美容のために、積極的にしいたけを食べましょう。
まとめ
しいたけの栄養は実はすごい!7つの効能と調理のコツ
・血圧やコレステロールを下げて生活習慣病を予防しよう
・免疫力を高めてガンを予防しよう
・風邪の改善と予防をしよう
・アレルギー疾患を改善しよう
・骨を丈夫にして骨粗鬆症を予防しよう
・お腹の調子を整えて便秘を解消しよう
・低カロリーでダイエットに効果的