スポーツをする時にはスポーツドリンクを飲む。今やこれがスポーツをする人にとって常識のようになっています。そのため、様々なタイプのスポーツドリンクが売られるようになりました。以前からある定番のスポーツドリンクに加えて、様々な成分がプラスされた新しいスポーツドリンクが沢山売られていますね。
スポーツドリンクは甘すぎないから、スポーツ時にちょうど美味しく飲めるからいいのだと思っている方もいるかもしれません。身体に早く吸収されるから、汗をかくスポーツ時には良いということを知っている人もいるでしょう。では何故身体に早く吸収されるのか、そこまでは分からずにスポーツドリンクを飲んでいる人が大半だと思います。
運動生理学的にみて、スポーツドリンクは何故スポーツ時に適切なのでしょうか。
スポーツドリンクの効能や成分について、詳しく見ていきましょう。
運動生理学から見た
スポーツドリンクの効能とは
汗で失った成分を補給しましょう
激しい運動などによって、人間は大量の汗をかきます。体重の2%を超える汗をかいた場合、すでに脱水の状態です。速やかに水分を補給しないといけません。
この時に水だけを大量に飲んでしまうと、一時的に体液の浸透圧が低くなってしまうため、吐き気や頭痛などといった症状が出てしまうことがあります。それを防ぐために、運動時には運動時の体液の浸透圧に近い飲み物を飲むことが必要になります。
また、汗の中にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれていますので、それらも同時に補給することが望ましいのです。
アイソトニックタイプは運動後に飲みましょう
アイソトニックタイプとは、糖質の浸透圧が、安静時の身体の体液の浸透圧に近いタイプのスポーツドリンクです。
スポーツドリンクの浸透圧が体液の浸透圧に近いということは、水分の吸収が早く行われるということです。そのため、体調不良時の水分補給にもよく利用されます。スポーツドリンクの定番商品などはこのタイプが多く、ポカリスエットやアクエリアスはこのタイプです。
これらのアイソトニックタイプは、スポーツ後に飲むことで、体力の回復を助けます。スポーツ中に飲むときは、2~3倍に薄めて飲みましょう。
ハイポトニックタイプは運動中に飲みましょう
ハイポトニックタイプとは、糖質の浸透圧が、スポーツ時の身体の体液の浸透圧に近いタイプのスポーツドリンクです。
スポーツ中は体液の浸透圧が低下し、2~3%まで下がっています。この浸透圧に合わせた浸透圧のスポーツドリンクをスポーツ中に飲むことで、水分が迅速に身体に吸収され、失われたミネラル分も同時に補給することができます。
Asahi H2O、キリン アミノバイタル、明治 ヴァームウォーターなどがこのタイプで、最近はハイポトニックタイプのスポーツドリンクが沢山発売されるようになりました。
糖質で体力を回復させましょう
糖質は、生命を保ち、活動していくためのエネルギーの供給源の一つです。一日に摂取するエネルギーの60%が、炭水化物などを含む糖質で占められています。
この糖質の中の一つにブドウ糖があります。ブドウ糖は血液中に血糖としても含まれる、重要なエネルギー源です。
病気時に水分とエネルギー源の補給のためにブドウ糖の点滴をした経験のある方も多いと思いますが、スポーツドリンクに含まれている糖質の多くもブドウ糖です。
スポーツ時には、スポーツドリンクの糖質で素早くエネルギーチャージしましょう。
ナトリウムを補給しましょう
汗をかくと、体内のナトリウムも一緒に排出されてしまいます。ナトリウムは、カリウムと共に、細胞の浸透圧の調整をしている成分で、筋肉の弛緩調整にも関わっています。
スポーツ中には腎臓機能が抑制されるため、筋肉からナトリウムが放出されてしまうことがあります。
そのため、ナトリウムが不足すると、筋肉の浸透圧が低下して、筋肉の痙攣を起こしてしまう危険性があります。これを防ぐためにも、スポーツ中はスポーツドリンクでナトリウムも補給するようにしましょう。
カリウムを補給しましょう
カリウムも、汗をかくと一緒に排出されてしまう成分の一つです。カリウムは、ナトリウムとバランスをとりながら、細胞の浸透圧を維持しています。
スポーツ時に、大量の汗をかいてカリウムが排出されてしまった場合、筋肉の働きが低下したり、筋肉が痙攣を起こすことがあります。また、カリウムが不足することで、身体がだるく疲れやすくなってしまう、低カリウム血症になることがあります。
運動時にはカリウムを補給できるスポーツドリンクを活用しましょう。
アミノ酸入りのものも活用しましょう
最近スポーツをしている人たちの間ではおなじみとなった成分が、BCAAです。
BCAAとは分岐アミノ酸の事で、ロイシン、イソロイシン、バリンの3つの必須アミノ酸を指します。BCAAは、スポーツの前やスポーツ中に摂取することで、筋タンパク質が分解されてエネルギーとなってしまうのを防ぐ効果があると言われています。
全てのスポーツドリンクに配合されているわけではありませんが、スポーツ中に摂取すると怪我や故障を防ぐ効果があるとも言われています。
いかがでしたでしょうか。
スポーツ時にスポーツドリンクを飲むことの本当の意味を初めて知って、ちょっとびっくりした人もいるのではないでしょうか。今まで当たり前にゴクゴクと飲んでいたスポーツドリンクが、激しい運動時には薄めて飲まないとかえって身体に悪いなどというのは、必ず知っておかなければならない知識ですね。
これからは、むやみやたらとスポーツドリンクを多用するのではなく、上手に取り入れてスポーツを楽しめそうですね。
まとめ
運動生理学から見たスポーツドリンクの効能とは
・汗で失った成分を補給しましょう
・アイソトニックタイプは運動後に飲みましょう
・ハイポトニックタイプは運動中に飲みましょう
・糖質で体力を回復させましょう
・ナトリウムを補給しましょう
・カリウムを補給しましょう
・アミノ酸入りのものも活用しましょう