日本では古くから食用として用いられている山芋。米よりも長く食べられていると聞くと、その歴史の長さがうかがえます。山芋特有のネバネバが体にいいことはよく知られていますが、具体的に、体のなかでどのような働きをするかは、わからない方も少なくないのではないでしょうか。
実は山芋は中高年で発症しやすい、様々な現代病の予防になるだけではなく、脳の病気の改善にも役立つことが分かりました。しかも山芋はこのご飯食の日本では、とろろなどの調理法で親しまれ、生活に取り入れやすい食材です。活用しない手はありませんよね。
そこで、ここでは山芋の栄養が、わたしたちの体のなかでどのように活躍してくれるのかを挙げていきます。
山芋の栄養が肝臓の病気も予防する?
驚きの効果をご紹介
ムチンには血糖値の上昇を抑える働きも
健康診断の血液検査の項目でおなじみの「血糖値」。「血糖」とは、血液中に含まれるブドウ糖のことで、その量が「血糖値」です。「血糖値」は、食事をとるごとに上昇します。すると、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンによって、ブドウ糖が肝臓、筋肉、脂肪組織に取り込まれ、血糖値は下がっていくのです。
しかし「血糖」が増えすぎるとインスリンの働きが低下し、糖尿病発症のリスクが高まります。したがって、血糖とインスリンのバランスが保つことは、糖尿病を予防するためにとても重要なことです。山芋に含まれているムチンには、腸の中で食べたものを包みこむという働きがあります。それによって糖質の吸収をゆっくりにし、血糖値の急激な上昇を抑え、インスリンの分泌も少なく済ませることができるのです。
コレステロールを除去するサポニン
健康番組などを見ていると、よく出てくる「コレステロール」という用語ですが、その実態について、詳しく理解することは難しいですね。
「コレステロール」が血管にたまると、いわゆる血液ドロドロの状態になり、心筋梗塞など命に関わる病気の原因になることがあるため、話題に出てくることが多いのです。山芋に含まれる、サポニンという成分は、血の中のコレステロールを取り除き、血栓の生成を抑える働きがあることがわかってきています。
肝臓の病気や動脈硬化を防ぐレシチンの構成成分であるコリン
悪玉コレステロールが増えると、血管をつまらせたり、動脈硬化の原因になることがあるため注意が必要です。山芋に含まれている、コリンという栄養素は、レシチンという成分の材料となりますが、そのレシチンが、血管壁に張り付いた、悪玉コレステロールの付着防止に効果があり、動脈硬化を予防します。
また、血管にコレステロールがたまっている状態は、肝臓に大きな負担を与え、脂肪肝、肝硬変の原因にもなるのです。レシチンの働きを活発にするために、山芋を食べることは、体にとってとても有効だといえます。
消化や吸収を助けるアミラーゼ
山芋には、でんぷんを分解する消化酵素、アミラーゼが豊富に含まれています。このアミラーゼが消化を促進することで、栄養の吸収率が上がり、新陳代謝を高めます。山芋が疲労回復にいいと言われているのは、この栄養の吸収率よるものです。
アルツハイマー病改善に期待が高まるジオスニゲン
アルツハイマー病は、ゆっくりと進行していく脳の病気で、治療することは難しいといわれています。しかし、2012年、山芋に含まれるジオスニゲンという成分が、山芋の改善に有効であるという発表がありました。
マウスによる実験で、マウスの記憶力に改善が見られたほか、アルツハイマー病の原因と言われているタンパク質「アミロイドベータ」も約70%減少したということです。日本の高齢者人口は増加を続けています。そのなかで多くの方がアルツハイマー病を発症し、ご本人やご家族の苦しみは計り知れません。この発表が実用化される日が来ることを望みます。
いかがでしたでしょうか。日本の食卓では同じみの山芋ですが、健康に過ごしていくために大切な栄養素を、多く含んでいることが改めてわかりました。だからこそ、古くから日本の食卓にのぼり、多くの人々の暮らしのなかで現代まで息づいてきたのですね。
とろろはご飯の上にかけるだけではなく、蕎麦の上にかけても美味しく食べられるでしょう。また、とろろを輪切りにして、海苔を付けて片栗粉でまぶしてから揚げると、美味しい揚げ物料理として、副菜の一品に出せる逸材です。
食事は元気の源。材料それぞれの栄養を知ることは、健康へとつながりますね。そして、より美味しく食べられるものです。この記事が、あなたのお役に立てるとうれしいです。
まとめ
山芋の栄養が肝臓の病気も予防する?驚きの効果をご紹介
・血糖値の上昇を抑えるムチン
・消化や吸収を助けるアミラーゼ
・コレステロールを除去するサポニン
・肝臓の病気や動脈硬化を防ぐレシチンの構成成分であるコリン
・アルツハイマー病改善に期待が高まるジオスニゲン