ピラティススタイルはダイエット目的のエクササイズとして有名ですが、もともとは怪我や病気で長期入院していた人が社会復帰のために行うリハビリの運動として開発された経緯を持ちます。そのため筋力や体の柔軟性に関係なく誰でも行うことができます。
ピラティスは腹式呼吸により交感神経を活発にし、体や頭をすっきりさせていく効果があります。ヨガのような瞑想などのスピリチュアルなインストラクションはなく、常に体を動かしていきますが、動きは緩やかで負荷も比較的軽いので、普段運動を行っていない人でも手軽に始めることができるエクササイズです。
ヨガのストレッチ効果とウエイトトレーニングの筋肉の緊張を同時にもたらすピラティススタイルには、体だけではなく心にも様々な効果が期待できるので、仕事などのストレスで乱れがちな自律神経を整えたい人や、デスクワークなどで運動不足になりがちな人にはおすすめのエクササイズです。
それではピラティススタイルが、自律神経や運動不足に効果抜群の理由をお伝えします。
胸式呼吸で姿勢を矯正しよう
呼吸は生命を維持するだけではなく気持ちを落ち着かせたり、体の調子を整えたりといった働きがあります。ピラティススタイルでは呼吸法の効果を最大限に利用することで、効率良くインナーマッスルを鍛えることを可能にしています。
呼吸は自律神経の働きに関係していて、興奮状態の時に働く交感神経とリラックス状態のときに働く副交感神経を切り替えるスイッチとしても作用します。ピラティススタイルでは胸式呼吸という呼吸法を行います。
ヨガなどに用いられる腹式呼吸はリラックス状態になるための呼吸法ですが、胸式呼吸は交換神経の働きを活発にさせるため筋肉が緊張した状態になります。
この筋肉の緊張を負荷として利用するのがピラティススタイルです。胸式呼吸を行うことで肋骨付近にある腹横筋を刺激し、脊椎と骨盤を正しい位置に戻すように働きかけ、姿勢を矯正します。胸式呼吸は普段無意識に行っている呼吸や腹式呼吸と異なり、身につけるまで多少時間がかかりますが、基礎代謝も高まりますので、ピラティススタイルを行うときには意識して呼吸するように心がけましょう。
短時間で効果を実感しよう
ピラティススタイルはインナーマッスルを鍛えるとともに、骨の歪みを治し、正しく効率的な体をつくることを重点が置かれています。もともとリハビリを目的としたピラティススタイルは、比較的短期間で効果がでると言われています。特にお腹周りや腰回りのサイズダウンに効果的です。お腹周りや腰周りが痩せにくい原因は骨盤に歪みにあると言われています。
骨盤が歪み、外側に開いてしまうとそれに支えられていた内蔵が下がり、そのせいで下腹部がポッコリしてしまったり、お尻が大きくなるなど太って見える原因になります。ピラティススタイルではこの骨盤の歪みを正し、お腹周りのインナーマッスルを鍛えることで美しいウエストラインを作ることができます。
インナーマッスルは体の深層部分にあるため、刺激したり強化することが困難です。そのため多くの人がこのインナーマッスルを鍛えることをしていないので、短期間でも体に大きな変化がみられます。
普段、定期的に運動を行っていない人は特に効果が現れるのは早いでしょう。
体のことだけを考えて無心になろう
ピラティススタイルは体に働きかけるだけのものではなく、精神面にも働きかけるエクササイズです。
ピラティススタイルでは使っている筋肉に意識を集中し、自分の体のことだけを考えて行います。このように行うことで動かしている筋肉が活性化し、より大きな力を発揮します。自分の体に集中し、無心で体を動かすことによって、イライラした気分が落ち着きストレスの解消にも役立ちます。
集中力が発揮されている時、脳内ではドーパミンという神経伝達物質が活発に分泌されます。ドーパミンの分泌が増えると快楽を感じるだけではなく、元気になったり脳の働きが向上し、アイデアをひらめきやすくなります。
また仕事の効率が上がるなど、心にも体にも良い効果があります。疲れがたまっていたり、何かやる気が出ないなど気分が落ち込み気味の時には、ピラティススタイルで集中力を高め、心も体も元気になりましょう。
免疫力をアップさせよう
免疫力とは病原菌やウイルスなどの外敵を防いだり、体内にできた害をもたらす細胞を除去する自己防衛機能で、一般的にストレスや加齢によって低下してしまいます。
免疫力が低下すると疲れや肌荒れなどの不調、風邪やウイルス感染、さらにはがんや肺炎などの命に関わる病気になる危険性も高まってしまいます。免疫力を高めるためには食事、睡眠に加え、運動が欠かせません。自然免疫に重要な役割を担っているNK細胞は運動中に活性化しますが、運動を終了した途端その活性化は下がってしまいます。
激しい運動ほどその格差は大きく、逆に免疫力の低下を招いてしまうこともあります。ピラティススタイルはNK細胞を活性化させ、運動後の活性化の低下が緩やかなので、免疫力アップには最適な運動です。
また骨盤が歪むと胃腸などの内蔵が圧迫され、免疫力が低下してしまいます。さらに骨盤の歪むことで背骨が曲がり、自律神経の乱れを引き起こし、胃腸のコントロールに刺傷をきたします。
ピラティススタイルで骨盤の歪みを正すことで、内蔵の位置が正しい位置に戻り、腸のぜん動運動が活発になるため免疫力アップに繋がります。腸は免疫臓器と言われるように、免疫細胞が集まっています。
ピラティススタイルで腸の働きを活性化させ、免疫力を高めましょう。
腰痛・肩こりを改善しよう
最近ではデスクワークの人に限らず、肩こりや腰痛に悩まされている人は多くなっています。肩こりや腰痛は無理な体勢をとり続けている、日常生活のクセによって体のバランスが乱れているなどが原因のひとつと言われています。
一般的な運動が表面の筋肉の強化を行うのに対し、ピラティスは体の内側の筋肉、インナーマッスルを鍛えることができます。そのため体の歪みを治し、中心に芯が通ったようなきれいな姿勢を保つ事ができるようになります。結果、肩こりや腰痛などの症状の緩和に大きな効果があります。
また腰回りや背骨周りの筋肉を鍛えることで姿勢が改善され、腰への負担が軽くなるため、腰痛の緩和に役立ちます。運動不足の人は筋力も衰えがちですので、ピラティスによって筋肉の比率を高めると体をうまく支えられるようになり、疲れにくくなります。
もともとピラティスはリハビリ用に開発されたエクササイズですので、運動不足の人でも体に余分な負担をかけずに、筋肉を鍛えることができます。
代謝を高めてダイエット効果を得よう
ピラティススタイルでは正しい呼吸法を意識しながら行います。
完全にいきを吐き出し、そこから新鮮な空気を体いっぱいに吸う、この呼吸法によって全身の筋肉を活性化させていきます。このゆっくりとした深い呼吸が血液循環をよくし、新陳代謝を活発にさせ、老廃物など体に溜まった不要なものを排出しやすくします。
またプラティススタイルは筋肉の強化を目的とするエクササイズですので、筋肉が強くなればその分だけ基礎代謝が高まり、脂肪が燃焼されやすくなるためダイエット効果が期待できます。
ピラティススタイルではなかなか鍛えられないインナーマッスルが鍛えられるため、表面の筋肉を鍛えるよりも高いダイエット効果が期待できます。
さらに体の内側を支えるインナーマッスルを鍛えることは、整ったボディラインを作ることにも繋がるため、より一層ダイエット効果を実感することができます。
最小限の用意で手軽に始めてみよう
普段運動を行わない人が健康や美容のために、ジョギングやウォーキングを始めようとすると保温性や吸水性、衝撃に強いなどの機能を備えたウエアやシューズを用意しなくてはなりません。
またウエイトトレーニングなどのエクササイズを行う場合は、ダンベルや鉄アレイなどの特別な器具が必要になります。これらを用意することを考えると面倒になって、運動を諦めてしまう人は多いのではないでしょうか。
ピラティススタイルの場合は、動きやすい服装と固い床に敷くマットだけですので、家にあるもので代用することもできます。このように事前準備が簡単なのも、ピラティススタイルのメリットです。
忙しくてピラティススタイルのスタジオに通えなくても、自宅のほんの少しのスペースで行うことができるので、誰でも手軽に始めることができます。
もちろん室内で行いますので、天候に左右されることなく、運動不足の解消にはおすすめです。
ピラティススタイルは呼吸法などの体本来の動きを最大限利用する性質を持っているため、毎日行うことで十分な効果が期待できます。アメリカで普及したピラティススタイルはハリウッドスターや一流スポーツ選手に愛好者が数多くいることが知られていますが、日本では高齢者への活用が期待されています。
リハビリ向けに開発されたピラティススタイルは、体の自由が制限される高齢者の健康増進や筋肉強化にも貢献できる可能性を持っています。
ピラティススタイルは心身のバランスを整え、健康的な体作り、美容効果、ダイエット効果など様々な効果が期待できますが、断続的に行っても効果は発揮されません。
自宅でも手軽に行えるピラティススタイルを毎日少しずつでも続け、健康で美しい体を作っていきましょう。